【PM向け】時間管理アプリで実現するタイムブロッキング術 集中できる時間帯を確保する方法
はじめに
プロジェクトマネージャーの業務は多岐にわたり、タスク管理やチームとの連携、ステークホルダーとのコミュニケーションなど、常に複数の事項を並行して進める必要があります。特に会議が多く設定される中で、じっくりと考える時間や、集中して特定のタスクに取り組む時間を確保することが難しいと感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
限られた時間の中で最大の成果を出すためには、時間を「何となく使う」のではなく、「意図的に使う」ことが重要になります。本記事では、多忙な状況でも集中力を要するタスクに取り組む時間を確保するための実践的な手法「タイムブロッキング」と、それを時間管理アプリで効果的に実現する方法をご紹介します。
タイムブロッキングとは
タイムブロッキングとは、カレンダーやスケジュール帳を使って、特定のタスクや活動のために明確な時間のブロック（塊）を予約する時間管理手法です。一般的なToDoリストが「何をすべきか」を示すのに対し、タイムブロッキングは「いつ、どれくらいの時間、何をするか」を事前に計画し、スケジュールに落とし込みます。
この手法のメリットは、以下の点が挙げられます。
- 集中力の向上: 割り当てられた時間内は、他のタスクに気を取られず、目の前の活動に集中しやすくなります。
- タスク漏れ・遅延の防止: 重要なタスクや、緊急ではないが重要なタスク（戦略立案、資料作成など）のための時間を確保することで、後回しにしてしまうことを防ぎます。
- 現実的な計画: 各タスクに必要な時間を事前に見積もり、スケジュールに組み込むことで、無理のない計画を立てやすくなります。
- 時間管理の可視化: 自分の時間を何に費やしているかが明確になり、時間の使い方を改善する手がかりになります。
多忙で会議が多いプロジェクトマネージャーにとって、タイムブロッキングは、会議と会議の合間や、一日の特定の時間帯に「この時間は〇〇のタスクに集中する時間」と意識的に予約を入れることで、流されてしまいがちな時間を自らコントロールするための強力な手段となります。
時間管理アプリでタイムブロッキングを実践する
タイムブロッキングは手書きのカレンダーでも可能ですが、時間管理アプリを活用することで、より柔軟かつ効率的に実践できます。多くの時間管理アプリはカレンダー機能やタスク管理機能を備えており、これらを組み合わせることでスムーズなタイムブロッキングを実現できます。
具体的な実践ステップとアプリ活用方法を見ていきましょう。
ステップ1：集中したいタスクを特定する
まず、タイムブロッキングで取り組みたいタスクを明確にします。これは、深い集中が必要な業務（例: プロジェクトの全体戦略を練る、重要な技術仕様書を作成する、リスク分析を行う）や、普段なかなか手がつけられない重要な非緊急タスクが適しています。
タスク管理機能があるアプリを使用している場合、これらのタスクに特定のタグ（例: #DeepWork, #集中タスク）を付けたり、優先度を高く設定したりしておくと、後でスケジュールに組み込む際に探しやすくなります。
ステップ2：カレンダーに「集中ブロック」として予約する
特定したタスクのために、カレンダーアプリに時間を予約します。これが「タイムブロック」となります。
- カレンダーアプリの活用: Google Calendar, Outlook Calendar, Apple Calendarなどのカレンダーアプリで、通常の会議予定を入れるのと同じように、集中したいタスク名をタイトルにした予定を作成します。
- 時間帯の選択: 自分が最も集中できる時間帯（例: 始業直後の時間、昼食後の少し落ち着いた時間、終業前の時間など）や、比較的会議が少ない時間帯を選びます。1回のブロックは短時間（30分や1時間）から試してみるのがおすすめです。慣れてきたら90分や120分といった長めのブロックを設定することも可能です。
- ステータスの設定: 多くのカレンダーアプリでは、予定の公開設定やステータスを設定できます。この時間を「予定あり」や「取り込み中」といったステータスに設定することで、他の人からの不必要な会議招集やチャットでの割り込みを防ぐ効果が期待できます。Google Calendarの「時間ブロック」機能のように、集中時間であることを明示できる機能を持つアプリもあります。
- 繰り返し設定: 毎日または週に数回、決まった時間に集中ブロックを設定することで、習慣化しやすくなります。
ステップ3：邪魔を減らす工夫をする
タイムブロックを設定しても、通知や同僚からの話しかけで中断されてしまっては効果が半減します。集中を維持するための工夫も同時に行います。
- 通知のオフ: スマートフォンやPCの通知を一時的にオフにします。多くのOSには「集中モード」や「おやすみモード」といった機能が搭載されています。
- 関係者への告知: チームメンバーや関係者に、この時間は集中作業に取り組む時間であることを事前に伝えておくと、理解と協力を得やすくなります。「この時間はチャットへの返信が遅れるかもしれません」といったアナウンスも有効です。
- ワークスペースの整備: 周囲の音や視覚的な情報を遮断できるイヤホンや、整理されたデスク環境なども集中を助けます。
ステップ4：ブロック時間内はタスクに集中する
設定したタイムブロックが始まったら、予定していたタスクに集中して取り組みます。他のメールチェックやチャット返信などは、ブロック時間が終わってから行うように意識します。
もし予定より早くタスクが終わった場合は、次のタイムブロックの準備をしたり、短い休憩を取ったりと、柔軟に対応します。逆に、時間が足りなかった場合は、次のブロックで続きを行うか、別の時間帯に改めてブロックを設定することを検討します。
ステップ5：振り返りと調整
タイムブロッキングの効果を高めるためには、定期的な振り返りが重要です。
- 計画通りに進んだか: 設定したタイムブロックで、予定していたタスクに集中して取り組めたか、時間内に終えられたかなどを振り返ります。
- 効果測定: この手法を導入してから、タスクの完了度や集中力の変化、締切遅延の頻度などに改善が見られたかを評価します。
- 改善: 計画通りに進まなかった場合は、設定した時間帯が適切か、タスクに必要な時間見積もりが正確か、邪魔を減らす工夫が十分かなどを検討し、次回のタイムブロックの設定に活かします。
多くの時間管理アプリやタスク管理アプリには、完了したタスクの履歴を確認できる機能や、費やした時間を記録できるタイムトラッキング機能が備わっています。これらの機能を活用することで、より客観的に振り返りを行うことができます。
短時間で効果を実感するためのポイント
多忙な中で新しい手法を導入するのは億劫に感じられるかもしれません。しかし、タイムブロッキングは比較的手軽に始められ、短時間でも効果を実感しやすい手法です。
- 短い時間から始める: 最初から長時間ではなく、まずは1日に30分や1時間など、短い時間からタイムブロックを設定してみてください。
- 簡単なタスクで試す: 最初は集中を要する難しいタスクではなく、少し集中すれば短時間で完了できるタスクで試してみるのも良い方法です。成功体験を積むことが継続の鍵となります。
- 特定の曜日や時間帯に固定する: まずは週に一度、決まった曜日の決まった時間帯に「集中時間」を設定してみるなど、習慣化しやすい形から始めましょう。
- カレンダーへの登録を徹底する: タイムブロッキングは、カレンダーに登録して初めて意味を持ちます。「いつやるか」を明確にすることが、実行への第一歩です。
これらのポイントを意識して時間管理アプリとタイムブロッキングを組み合わせることで、会議に追われる日々の中でも、着実に集中時間を確保し、業務効率と生産性の向上を実感できるはずです。
まとめ
時間管理アプリを活用したタイムブロッキングは、多忙なプロジェクトマネージャーが、中断されがちな環境の中で意識的に集中時間を作り出すための有効な手段です。
本記事でご紹介した実践ステップ（タスク特定、カレンダー予約、邪魔の排除、集中実行、振り返り）と、カレンダー機能やタスク管理機能を持つ時間管理アプリを組み合わせることで、すぐにでもこの手法を導入できます。
まずは短い時間、簡単なタスクからでも構いません。あなたの時間管理アプリを開き、今日または明日のスケジュールに「集中ブロック」を一つ予約してみてはいかがでしょうか。小さな一歩が、生産性向上とワークライフバランスの改善に繋がるはずです。